某医療用メーカーは、本来白朮であるべきところを、すべて蒼朮に入れ替えて漢方エキス製剤を製造しているから目も当てられない。
神農本草経の時代には蒼朮と白朮の区別はないが、《名医別録》で初めて赤朮と白朮に分けられ、区別されるようになった。赤朮すなわち蒼朮である。
蒼朮の名は宋代に至って初めて《政和本草》で用いられるようになる。
注意が必要なメーカー間における製剤原料の大きな違いからほんの一部だけ引用。
ヒゲジジイの薬局では使用しない医療用だから、ほとんど関心がなかったのだが、先日、五苓散に蒼朮が使用されている問題を論じて以後、ちょっと気になって調査したところ、あらゆる方剤の白朮であるべきところが、すべてが蒼朮に置き換えられて製造されているという信じ難き事実っ!
日本流の杜撰さがここにあり、補虚の白朮を去邪の蒼朮に置き換えたら、六君子湯も補中益気湯も、苓桂朮甘湯など、それら数十処方以上ある方剤類が悉く、本来の方意を微妙に損なうことになる事実を知る医療関係者がどれだけいるのだろうかっ?
こういう逆鱗に触れることをズバリ指摘できるのは、老い先短いヒゲジジイ以外には出来ないのだろうかっ?
上述の白朮と蒼朮の問題は、すべて学問的にも臨床的にも中医学的には当然のことで、常識中の常識なのである。
日本の漢方界は漢方処方に配合する生薬に関して、どうしようもなくデリカシーに欠け、杜撰なのである。
その他の重要参考文献:白朮を蒼朮で代用する日本漢方の杜撰