六味丸は、腎虚の基本方剤である。⇒
漢方基本方剤の研究:六味丸
専門的には、肝腎陰虚に適応する方剤として有名であるが、有名であっても日本国内では、そうでもない。
六味丸の各社製品は、あまり売れ行きが思わしくないといわれる。
逆に、腎陽虚や腎陰陽両虚に適応する「八味丸」や「牛車腎気丸」ばかりが、繁用され、配合中の「附子(ぶし)」の軽度の弊害をもたらせている症例をよく見かける。
そう! この温暖化がひどく、食糧事情も豊か過ぎる日本国内において、これほど「附子」が配合された方剤が、大量に使用される現象には、些か驚かされるどころか、明らかに間違っている、と思っている。
たとえ腎虚があっても、明らかな腎陽虚は見られず、むしろ陰虚から派生した虚熱の証候(一連の症候)が見られているのに、それでも八味丸や牛車腎気丸が出されているケースが、かなり多いのである。
即刻、六味丸や知柏腎気丸などに切り替えるべきケースが多い。
いきなり、八味丸乱用の日本社会の錯誤を取上げたが、実際には、六味丸こそふさわしいケースが多いからである。
あるいは、少なくとも八味丸や牛車腎気丸から、附子を去った方がよいケースが多い、といいたいのだ。
ということで、小生の経営する漢方薬局では、六味丸類は、しばしば使用するが、近年、八味丸や牛車腎気丸は、ほとんどお出しするケースが、皆無に近い、ということである。
たとえ、「附子」が適応しそうなケースでも、なるべく使用しないで、附子抜きで反応を見ると、つまり、六味丸+肉桂の配合の製剤で、充分に対応できると思っている。
必要もないのに「附子剤」を乱用すれば、肺陰を損傷するばかりでなくストレートに肺熱も引き起こして、乾燥咳や目の充血を招いたりする。
感冒などに罹患しているとき、不必要に乱用すれば、肺炎さへ誘発しかねないのである。
日本国内の、(北海道や東北地方などは知らないが)、多くの地域の温暖化現象と、暖房設備の充実、豊かさ過剰な食糧事情から、そうそう附子配合方剤の必要性は感じられない、ということである。
もっと、もっと六味丸は使用されてしかるべき時代だと信じるものである。
なお、当然のことながら、弁証論治の法則からは、滅多に六味丸単独で、難病・慢性病に充分な対処が出来るものではない。
一般論になるが、中国の陳潮祖教授の論著を参考に書いた「中医漢方薬学」の配合法則を参照されたい。(
何種類の漢方薬が必要か)