茵蔯・山梔子(さんしし)・大黄
このわずか三味だけで、しばしば素晴らしい効果を発揮する。
もともと黄疸の治療薬であるが、意外に湿疹類によく奏効する。
昨年来、病院治療でも長年に渡って不治であった痒みの強い湿疹に、3名、立て続けに、茵蔯蒿湯の単方で、軽快し、素晴らしい効能を発揮している。
もちろん、過去三十数年のキャリアでは、わずか3名くらいの問題ではない。
肝硬変や肝臓がんに付随する激しい掻痒に対し、数多くの患者さんに喜ばれてきた。
自慢じゃないが、当方に相談にやって来られる患者さんに、あまり軽症の人は来られない。
というか、軽症の人は、まずは病院治療をオススメして、漢方薬を出さないからである。
変な信念があって、病院の一般治療で治るものなら、なるべくそうして欲しいと願っている。
理由は2~3ある。
まず、軽い人にまで、自費の漢方薬を出したくない。
病院で治る場合も多い。
軽い人にまで、誰でも彼でも漢方薬をお出ししてたら、当方の体力がもたない。
それでなくとも、かなり深刻なご相談があるのに、病院で治るような方にまで、無駄な時間を浪費したくない。
生きる死ぬの問題さへかかえて、病院治療もむなしく、最後の手段くらいに思われて来られている患者さんたちに、疲労困憊の状態で応対するのでは、お気の毒であり、そうなれば、当方の脆い頭脳が、実力以下となって適切な漢方薬のアドバイスが出来ない。
軽症で、病院に行くのが嫌さにやって来られる患者さん達に限って、迷いも多く、当方の時間を奪いに奪う、など。
漢方薬局として横着に見えるとしたら、それは間違っている!
世の中には行き場を失って、頼ってこられる難治性のヤマイを抱えておられる方は、あとを絶たない。
その方たちには、当方の中医漢方薬学療法によって、かなり緩解できる場合も多い。
と、話はだいぶ横にそれてしまったが、そのようなかなりこじれた・慢性湿疹が、アトピー性皮膚炎とは異なるだけに、意外に弁証論治は、単純だったりするのである。
舌の状態に、湿熱の徴候があれば、つまり、舌に軽度でも黄味がかった膩苔があれば、まずは、複雑な配合は考えずに、湿熱の方剤、この茵蔯蒿湯で反応を見るのが、無難である。
これだけで、軽快していく人が、大変多い。
肝臓がんであれ、肝硬変であれ、
「痒み」に関してだけは、この茵蔯蒿湯で対応出来ることが多い。
繰り返しになるが、アトピー性皮膚炎でない限り、一般の湿疹、急性であれ、慢性であれ、茵蔯蒿湯の適応症である場合が意外に多い、という事実である。
漢方入門当初の筆者↓ これ33年前デスネン!(現在の愚娘の顔とソックリで気味悪りィ~)