二味だけの成分とは言え、というか、二味だからこそ、切れ味鋭い方剤である。
適応症であれば、西洋医学治療を上回る効能を発揮することがある。
鎮痛効果である!
ところが、
日本漢方では、芍薬(しゃくやく)と甘草(かんぞう)の比率を同量で使用するから、甘草が多すぎて浮腫を生じさせてしまうことが多い。
同じ比率で使用するのは、傷寒論の記載に忠実であろうとするための、弊害である。
当時とは、時代も環境も、マッタク異なっている、ということに対する配慮が足らないのでは、ないだろうか。
煎薬で服用するときでも、甘草は3~4グラムくらいまでとし、芍薬をしっかり多めに使うべきではないか。
つまり、上記の甘草の分量に対して、芍薬は9~12g、場合によっては15g使用するのである。
現代中国の文献類によれば、日本のように等比率で使用されることは、まずない。
こういう点が、日本の漢方界の頑迷さと、とらえられても仕方がないような、不思議な配合規則なのである。
急性腹症などで、たとえ対症療法的であっても、素晴らしくよく効く場合があるのだから、もっと慎重に考えてしかるべきであろう。
以上のことは、尿管結石を経験した折に、筆者自身も経験している。
また、屋根から落ちて25年も痛みのために腰が曲がったままの中年男性に、桂枝茯苓丸料だけで対処したのでは、部分緩解で、もう一歩というところで、芍薬甘草湯に変方したところ、即効で、腰の曲がりが完全に治った例を持つ。
的確に使用すれば、素晴らしい効果を発揮できるだけに、副作用防止の観点からも、上記配合比率を、是正すべきであると愚考している。