やっぱりたくさん書き忘れたことや、書き足りなかった部分もかなりあった。
かなり極端な言い方をさせてもらえば、慢性副鼻腔炎、つまり蓄膿症のほとんどが辛夷清肺湯を主軸に運用すれば、根治とまでは行かないにせよ、8割方は治せるのではないかと愚考している。
実際には、治りきるまでしっかり続けた人は、根治している。
「根治とまでは行かないにせよ」と書いたのは、少し遠慮したまでのことだ。
単に辛夷清肺湯の単方だけでは非力でも、中医学的により適切な他方剤や「中草薬」と呼ばれるものを併用すれば、成績はグ~~~と上がる。
そもそも、慢性副鼻腔炎を持病とする人は、風邪を引く度に急性炎症状態を繰り返すような方が、断然多い。
つまりは、熱証であることに間違いない。
だから辛夷清肺湯が主軸となっても不思議はない。
ということだから、風邪を引き込んで悪寒が強いが鼻も辛いという段階で、病院に診療を請うたところ、葛根湯や、あるいは葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)が出されたが、ほとんど効いたとは思われず、むしろ抗生物質を出されるようになって、ようやく楽になったという患者さんがとても多い。
このような状態で、たとえ悪寒が最初に強かったからと言って、葛根湯単方に頼るのは、あまりにも弁証論治の法則に反しているのだ。
ここが日本流というよりも、エビデンス漢方?あるいは製造メーカー主導の漢方投与の危うさがあるように思えてならない。
といっても、これは何も医療用漢方のみならず、他の薬局や漢方専門薬局などで、さんざん「葛根湯加川芎辛夷」をシコタマ服用して、埒が明かずにやって来られたケースも後を絶たない。
そもそも、葛根湯加川芎辛夷の効能に、鼻づまりや鼻炎が記載されているのはともかく、蓄膿症の効能が書かれていること自体が、ほとんど間違いに近いと思うが、どうだろう。
殆ど多くの蓄膿症は熱証であると思われるが、温性の強い葛根湯系列の方剤を投与すること自体、疑問である。
もしかりに適応する場合でも、急性期のほんの一時的なことのはずである。
悪寒がかなり消える頃からは、ますます鼻症状が悪化し、顔面には熱を帯びて熱証特有の急性期症状が出現するのが一般である。
だから、風邪による鼻症状の悪化に対しては、銀翹散製剤と辛夷清肺湯の併用が主軸の方剤となりやすい。
この組み合わせに、患者さんの様子に合わせて適切な中草薬を加えることが断然多かったというわけである。
なお、参考資料として、ブログ
漢方と漢方薬は風邪・流感に本当に有効か?の、
風邪の原因が慢性副鼻腔炎
も、参考価値が高いと思われる。
風邪をしばしば引く患者さんたちのその根本原因が蓄膿症であった、という方が断然多いよういだというお話。