補中益気湯はもともと黄耆(オウギ)と白朮(ビャクジュツ)の配合によって、表衛不固による自汗を治す作用を内在する方剤である。
ところが、一部の医療用の補中益気湯エキス製剤では白朮が配合されずに、その代わりに軽度の発汗作用を有する蒼朮(ソウジュツ)で白朮の代用にしている医療用漢方製剤が存在する。
これは些か問題があり、本来の補中益気湯の作用をフルに発揮できるものではない。
間違いだらけの漢方と漢方薬によれば
白朮と蒼朮の最大の違いは、白朮は固表止汗して黄耆(オウギ)がないときの代用品になるくらいだが、蒼朮は逆に散寒解表して発汗作用があるので決して黄耆の代用とはなり得ない。
━白朮を蒼朮で代用する日本漢方の杜撰
ということから考えても、
五苓散中の白朮を蒼朮で代用されるのとは問題のレベルがさらに大きいように思われる。
以上のことからも分かるように気虚系統の治療方剤は、いずれも白朮とあるところは必ず白朮でなければならず、蒼朮で代用できるものではないはずだ。
ところがその代表的な医療用漢方製造メーカーさんでは、補中益気湯のみならず六君子湯や十全大補湯など、多くの補益の方剤が、いずれも正しく白朮が配合されずに蒼朮で代用されている点については大いなる疑義を感じている専門家は多い。
おおよそ数えると三十数処方以上。
日本の医療界および漢方界のためにも早急に是正が求められる。
重要参考文献:
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白朮を蒼朮で代用する日本漢方の杜撰
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日本漢方の後進性の証明は医療用ツムラ漢方の補中益気湯や六君子湯中の白朮を蒼朮で代用する錯誤もその一つ
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補中益気湯や六君子湯中の白朮を蒼朮で代用する錯誤問