五苓散の続きである。
五苓散は、漢方入門当初には、誰もが小柴胡湯や葛根湯とともに、真っ先に覚える漢方処方である。
そして、多くの入門者が、五苓散の威力に驚き、漢方薬の素晴らしさを、味わうことの多い方剤なのであった。
もっとも代表的なのが、水逆性の嘔吐で、水分を強く欲するも、飲めば直ぐに噴水のように嘔吐し、本人は嘔吐する割には、それほどの苦しみは無い、というのが典型的とされる。
このような症状は、幼児に多く、成人男性では、軽度の日射病で、この症状を呈する時がある。
わかりやすく言えば、ある部分の細胞から水分が減り、他の一部の場所では水分過剰が生じ、水分の偏在状況が体内に生じており、口渇を生じてガブガブ飲みたがるも、胃のほうが受け付けてくれない状態で、この時に「五苓散」を服用すると即効が得られるわけである。
このことから、体内各部に、水分の分配がうまくできない多くの病態に適応するのである。
こういう(幼稚だが)、イメージ的な捉え方は、一般の方に説明するのにも便利で、むつかしい中医学用語を使わないで説明する方法論としても、他の方剤を説明する時にも、きっと参考になるに違いない。
先ほど述べたように、体内における適度な水分の分配がうまくゆかず、その体内の水分調節不良による各種の疾患に応用できる、ほんとうに便利な方剤である。
五苓散の応用としては、頭痛・下痢というのは有名だが、意外にこの方剤で便秘症が治るタイプがある。(参考文献:
猪苓湯や五苓散が、時に常習便秘に効果が出ることがあるのはなぜか?)
また、帯状疱疹には、かなりな威力を示すことが多い。
従来から日本古方派がよく行なってきた治療方法であるが、実によく奏効することが多く、これに板藍根を加えれば、さらに効果を増すものである。