前回に続いて、五苓散について。
たとえば、昨年から今年にかけて、実際に応用した例。
80歳前後の男性の陰嚢ヘルニア手術後に、陰嚢に水が溜まって睾丸が腫れ、病院で何度も水を抜いてもらうが、直ぐに大きくなる。
何ヶ月も繰り返して、まったく治る見通しもなく、途方に暮れていたところで、筆者のもとへ相談に見える。
この方には、五苓散製剤でも、エキスと散剤が、各半分ずつ合体した製剤を使用。
これに「30頭」といわれる最高品質の「田七人参」を併用してもらう。
即効を得て、一旦は消失したが、上記の服用を中止すると、しばらくして再発するので、ご高齢でもあり、一生服用するつもりでいるようにアドバイス。
一年半近く継続中であるが、完全に消失している時期と、ほんの少し腫れ気味になることもある、と言われる。
次に、
原因不明の心房細動で、5~6年前にも、状態がひどく悪化して、病院治療に当方の漢方薬の併用により、軽快。
その後は、病院の投薬のみ(ジゴキシン製剤と利尿剤など)で、コントロールされ、心房細動は消失しないものの、心不全の徴候もなく順調であった。
ところが、昨年から心臓に水が貯留しはじめ、利尿剤の服用量が折々に増やされるが思わしくなく、職場に昼になるまで出勤できない状態が続いていた。
医師も将来は、特殊なペースメーカーを入れるなど、思案されているという。
漢方的には木防已湯などが考慮されるところであるが、
長年の体質をよく知る同年代の男性であるから、まずは先の場合と同様、エキスと散が、それぞれ半分ずつが合体した五苓散製剤を主体として、
麝香製剤と牛黄製剤、四逆散製剤、さらに霊芝・田七人参など加えて服用してもらったところ、あくる日には即効を得て、
本人に言わせれば「心臓部の水がボゴボゴ言っていたのが、完全に消失」して、会社にも早朝から出勤出きるようになった。
現在、この漢方薬類の複雑な配合を継続し、無症状で、元気で活躍されている。
と、以上、簡単に最近の2例ほどを書いてみたが、いずれも病院での診断および治療の限界をほどほど見届けて後の、漢方薬の利用である。
次回も、まだ五苓散が続くと思う。