補気建中湯の際立った特徴および特長は、
白朮と蒼朮の両者が配合されていることである。
蒼朮を省略して白朮だけが配合された補気建中湯は、補気建中湯にあらず。
このたび、この不況時の最中、筆者の要請に応じて小太郎漢方製薬さんの尽力によって実現した補気建中湯エキス製剤である。
すべての人に有効という訳には行かないにしても、
適応証の人に的確に使用されれば、どうしようもない不快症状をたとえ一時的にせよ、大きく改善できることであろう。
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ダイサギ posted by
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傷寒論の配合比率を墨守する日本の芍薬甘草湯エキス製剤は現代社会では極めて不都合である。
日本の漢方界は、他の科学分野と異なって、あまりにも知恵が無さ過ぎる業界だから始末に負えない。
傷寒・金匱の時代の書かれるままを墨守し、そのくせ白朮を安物の蒼朮で代用するような矛盾を平気で犯すような体たらくである。
芍薬甘草湯が傷寒論において芍薬と甘草の配合が同じ比率であることを金科玉条として、猫も杓子も同比率の製剤ばかりを粗製乱造するから、漢方には皆目シロウトの医師や薬剤師が乱用しまくるので甘草の服用肩による浮腫や高血圧を誘発するのである。
現代社会にマッチした配合比率では、芍薬に対して甘草は半分以下の比率であることが望ましいのである。その配合であれば、シロウト医師や薬剤師が適応を誤って投与しても、副作用を軽減できて問題は生じにくい。
のみならず、これからが重要な点であるが、同比率で配合された芍薬甘草湯よりもむしろ効果は優れている可能性が高いのである。筆者の過去の経験からも断言できる話だが、筆者が述べたくらいではなかなか信用しないだろうから、本場中国の過去の老中医たちの治験例集を多くかき集めて調査するがよい。
筆者自身、これらの調査を二十年前に既に詳細に行なっているが(昨今もうろくして過去の記憶も薄らいできているが)少なくと、どの老中医も、傷寒論に記載される芍薬甘草湯のような同比率の配合で投与された例は皆無であったっ!
芍薬に対して甘草は半分以下であることが大半である。三分の一以下の配合量だったことも稀ではなかったように記憶する。その理由は芍薬甘草湯の主薬は芍薬であるからに他ならないだろう。
だから昨今、親しい製薬メーカーには、
芍薬が6gに対して甘草が2~3gとした一日量としたエキス製剤の許可を取れば、派手に宣伝してあげるから許可を取り直さないかと打診しているが、どの程度真面目に受け取っているか心もとない(苦笑。
芍薬4~6gに対して甘草2gの方がエキス剤としては応用が利いて相応しいかもしれない。いずれにせよ、本気で許可申請を出せば二年以内に許可が下りる可能性が高いのだから、奇特なメーカーはないものかねっ?
と思っていたら、許可申請に努力してくれたメーカーさんが出現したのだが、
芍薬と甘草は同比率の配合でなければ、絶対に製造許可が下りないことが判明した!
かくのごとく、いくらメーカーさんが頑張っても、監督官庁が石頭で融通性のない官僚集団だから、どうにも救いようが無いということだった。
これだから日本の漢方はますます衰退するわけだっ!
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