そうなんです。
昔、葛根湯医者、という言い方があって、藪医者の代名詞として使われていた。
何の病気にでも、葛根湯を投与するので、このように呼ばれたという。
そうはいっても、確かに日本人には、葛根湯証を呈する人が多い。
といっても、風邪薬としてでは、断じてない!
巷では、いまだに風邪薬の聖薬のように思われてか、それこそ葛根湯医者顔負けの、乱用である。
それほど、風邪に効きますかね?
実際には、風邪を引いた時に、葛根湯証を呈する人は、現代では少数派ですよ。
寒い思いをして、少しゾクゾク、
喉が痛くならない風邪であることが、絶対的な条件!
喉が痛くなる風邪に、日本古方派の先生方がやられるように、葛根湯に桔梗と石膏を加えたくらいで、それほど効果を発揮するものでは、ナイ!
こんな時は、やっぱり、傷寒論医学ではなく、温病論にもとずく『銀翹散』系列の方剤が主役である。
この銀翹散製剤を上手に使いこなせば、流感でもやっつけられる。
それには、使用方法とプラスアルファの配合薬に、テクニックがいるとは言え、葛根湯の比ではない。
というか、
流感には、葛根湯は、まず、効かない。
それなら、現代社会において、葛根湯の有用性は何か、といえば、主として『頚椎症』関連である。
但し、長期連用が必要になる場合が多いので、配合薬の「麻黄」の分量などに、注意が必要である。
この「麻黄」は、覚せい剤の一種、エフェドリンの製造原料だけに、あまり配合分量は、多くない方が、長期連用には向いている、と考えている。
この「麻黄」の長期連用は、効果を落とす、と言われているが、それは喘息や気管支炎などにいえることで、正確な弁証論治の結果、葛根湯証と認められた場合に、長期連用で効き目が悪くなった人は、三十年以上の経験からは、皆無である。
長期連用の必要があるからこそ、逆に「麻黄」の分量をおさえて、製造上も一工夫された製剤を使用するようにしている。
でなければ、総じて一般的な「葛根湯」では、長期連用で胃に悪影響出る人があるからだ。
ところで、この頚椎症関連であるが、その原因が、歯のかみ合わせの悪さが誘発原因になっていたり、長時間の車の運転、長時間のパソコンなど、なにせ日本人には適応症がかなり多いのである。
もちろん、ポイントは、
項背部のコリ、この一語に尽きる。
もっと具体的に言えば、 首の真裏を自分で揉んでみて「気持ちがよい」ということと、その「首の真裏を温めると気持ちがよい」という二つが揃わない限りは使用しても無意味だから、使用すべきでない。
人に揉んでもらうと気持ちがよい、というのはあてにならない。必ずみずから揉んでテストすることっ!
蛇足ながら、このことは風邪の初期症状で葛根湯証を呈するときも共通した必須の二項目である。(参考文献:
葛根湯が適応するときの絶対的な条件)
その自覚症状といえば、あまりに多様であるが、代表的なものが、ご存知、肩こり、眼精疲労、メマイ、手のシビレ、など、など、など・・・・・。
その他の参考文献:
葛根湯と鋏(はさみ)